• 検索結果がありません。

永田央(助教授) 分子研リポート2004 | 分子科学研究所

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2018

シェア "永田央(助教授) 分子研リポート2004 | 分子科学研究所"

Copied!
2
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

218 研究系及び研究施設の現状

永 田   央(助教授)

A -1)専門領域:有機化学、錯体化学

A -2)研究課題:

a) 空間制御された大型有機分子内での光励起電子移動 b) 光励起電子移動を利用した触媒反応の開発

c) 金属ナノ粒子・有機分子複合体の合成

A -3)研究活動の概略と主な成果

a) 空間制御された大型有機分子内での光励起電子移動:内部に酸化還元活性基と光活性基をともに有するデンドリ マー分子を合成し,その光励起電子移動挙動について調べた。デンドリマーの骨格としては,内部にカルボン酸エス テル官能基を持つものを新たに開発して利用した。この骨格は以下のような特徴を持つ:①デンドリマーにおける 分岐ユニットの間にエステル官能基が置かれているため,分子が占める空間内に官能基が三次元的に均一に分布す る,②分岐ユニットの間の間隔が大きいため,隙間が多い構造であり,溶媒等が内部まで浸透しやすい。このデンド リマーの中心(核部位)にポルフィリンを結合し,エステル基を官能基変換して酸化還元活性基(フェロセンおよび キノン)を結合することで,ポルフィリン:フェロセン=1:2,1:6,1:14,およびポルフィリン:キノン=1:2, 1:6,1:14の分子をそれぞれ合成した。

ポルフィリン/フェロセン結合分子では,ポルフィリンの光励起によってフェロセンからの電子移動が起こる。電 子移動の効率はポルフィリンの蛍光消光によって見積もることができ,明確な世代依存性が観測された。すなわち, デンドリマーの世代数が上がってフェロセンの数が増えるにつれて,蛍光消光の効率が高くなった。蛍光寿命の測 定から,すべてのフェロセンが独立に消光に寄与していると仮定すると,デンドリマーの第一・第二・第三世代の位 置に結合しているフェロセンはそれぞれ 9.5,16,3.8 µs–1の速度でポルフィリンの励起一重項と反応していること が導かれた。第二世代の位置が最も効率がよいのは,このデンドリマーがポルフィリンにかぶさるような配置をとっ ているためと考えられる。

ポルフィリン/キノン結合分子では,逆にポルフィリンの励起状態からキノンへの電子移動が起こる。この系では, 蛍光消光だけでなく,電子移動の後続反応としてキノンのヒドロキノンへの光還元を行うことができた。この反応 では見かけ上,第一・第二・第三世代のキノンがすべて同様の速度で光還元を受ける。これは上記のデンドリマーの 構造に関する知見と一見矛盾するようだが,観測された光還元の速度は電子移動の速度よりもはるかに遅いため, 電子移動よりも後の段階が全体の速度を支配しているものと解釈できる。

b) 光励起電子移動を利用した触媒反応の開発:光励起電子移動を利用する前段階として,コバルト・ニッケル錯体を触 媒とする電気化学還元反応について研究している。シクロペンタジエニル基を有する一連のハーフサンドイッチ型 コバルト錯体を合成して電気化学的挙動を調べたところ,プロトン存在下で還元波形が大きく変化することを見い 出した。

(2)

研究系及び研究施設の現状 219 B -1) 学術論文

Y. KIKUZAWA and T. NAGATA, “Synthesis and Properties of New, Spatially Relaxed Dendrons Containing Internal Carboxyl Groups,” Bull. Chem. Soc. Jpn. 77, 993–1000 (2004).

B -9) 学位授与

菊澤良弘, 「内部に機能性官能基が導入可能なデンドリマーを用いた、多段階光酸化還元分子構築に関する研究」, 2004 年 9 月 , 博士(理学).

B -10)外部獲得資金

萌芽研究 , 「無機ナノ粒子を包含する単一分子素子を用いた光合成物質変換」, 永田 央 (2003年 -2004年).

特定領域研究(公募研究), 「デザインされた空孔を持つ有機分子と金属ナノ粒子の1:1複合体の調製」, (2004年 -2005年).

C ) 研究活動の課題と展望

現在3つのテーマを平行して進めているが,過去2年で上記課題(a)については興味深い成果が得られつつある。すでに合 成が完了している分子については,物理化学的測定について分子研内外の研究者の協力を仰いで,各々の理解を深めて いく。複雑な分子の溶液中での構造を予測するため,計算化学的な手法も積極的に導入する。また,これらの分子骨格を元 にして,空間制御された光励起電子移動を実現し,新しい機能発現を目指す。

課題(b)については,しばらくの間地道な探索が続くと考えている。興味深い反応が見つかれば(a)と組み合わせて,新しいタ イプの光合成物質変換の開発を進める。

課題(c)も,最終的な目標は課題(b)と同じ位置にある。すなわち,金属ナノ粒子を酸化還元反応の場として用い,それを(a)の 分子系と組み合わせて光合成物質変換に展開することを目指している。現段階では,まだナノ粒子を単一の分子として扱 う(つまり,保護分子とナノ粒子の1:1複合体を得る)方法が確立していないので,当面はそのための分子設計の探索を続け る。

参照

関連したドキュメント

 1)被樵卵 當酒室飼育中ノ白色「レグホン」種ノ産

工学部の川西琢也助教授が「米 国におけるファカルティディベ ロップメントと遠隔地 学習の実 態」について,また医学系研究科

大谷 和子 株式会社日本総合研究所 執行役員 垣内 秀介 東京大学大学院法学政治学研究科 教授 北澤 一樹 英知法律事務所

東北大学大学院医学系研究科の運動学分野門間陽樹講師、早稲田大学の川上

Analysis of the results suggested the following: (1) In boys, there was no clear trend with regard to their like and dislike of science, whereas in girls, it was significantly

学識経験者 品川 明 (しながわ あきら) 学習院女子大学 環境教育センター 教授 学識経験者 柳井 重人 (やない しげと) 千葉大学大学院

海洋技術環境学専攻 教 授 委 員 林  昌奎 生産技術研究所 機械・生体系部門 教 授 委 員 歌田 久司 地震研究所 海半球観測研究センター

関谷 直也 東京大学大学院情報学環総合防災情報研究センター准教授 小宮山 庄一 危機管理室⻑. 岩田 直子